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黒タイツというファッション

 肌寒くなってきた。衣替えと言うわけではないけれど、スキニーパンツとシャツを新調した。10代の頃はどちらかと言うと、少し大きめのダブついた服を着ることが多かったが、近頃はぴったりとした、サイズ下のものを好むようになった。派手で変わったTシャツも好きだけれど、シックで落ち着いた格好が今の自分には適している気がするのだ。
 
 秋頃になると、黒タイツを穿いた人をよく見かける。黒は光を吸収すると言うし、生地も厚そうだし、だからやっぱり寒い季節に適しているのだろうか。穿き心地を知ることはこの先もないだろうけれど、見ている分にはとても綺麗だと思う。
タイツにも色々な種類があるらしい。生地の厚さとか、締め付ける圧だとか、ふいに店頭で見かけると、様々な基準があることが分かる。自分の知らない世界は、知らないままにロマンを維持しておきたいから、気になりつつも調べたことはない。だから数値の意味も、ストッキング•タイツ•トレンカ...などの違いすらも分からない。
 しかしながら、見て分かるぶんにはちゃんと好みがある。膝のあたりに肌色がにじみ出るような薄いものより、曲線だけを意識できるような真っ黒いものの方が好きだ。足首まで覆われていないと不安になるし、色が薄かったり柄が入っていたりすると、暑苦しく感じてしまう。
 そんなぼくの好みはどうでもいいとして、スポーツ人の機能的ファッションとして、タイツを見かけることが多くなった気がする。特にランナーなどは男女関係なく利用者が多く、ぼくもランニングアプリを入れるくらいには走るのが好きだから、それで疲労軽減とか怪我予防などの恩恵があると言うのなら、ぼくにも穿き心地を知るチャンスはあるのかもしれない。
 
 それにしても脚全域を黒く覆うなんて、よくよく考えてみれば随分と思い切ったファッションだ。黒い服装は嫌いではないが、というか持っているボトムスは大体黒系だが、それとは訳が違う。ように感じる。
 60年代とかのディスコ時代は、肌色タイツが流行の先端だったと聞いたことがある。今ではビジネスシーン等でしか見かけなくなった肌色タイツにも、そんな全盛期があったのかと思うと、流行とは使い捨てられていくものだと、ひしひしと感じる。
 黒タイツがファッションとして認知されるようになったのはいつ頃なのだろう。ぼくが高校生の頃にはすでに広まっていたと思うが、中学以前は女性の服装を意識したことが無かったから、結局分からない。女性に聞けばすぐに分かりそうなものだが、今知らない以上、別に調べてまで知ろうとは思わない。そこにはロマンが眠っているから、仕方ないのである。
 
 ぼくの中で、ソックス類はタイツの下位互換という認識がある。くるぶしからハイソックスまでは、学生らしい真面目な印象を受けるが、膝付近まで丈が伸びてくると、どことなく性的なものを感じてしまう。
 スカートとの隙間から覗く大腿部とか、ふくらはぎにかけての窄まりとか、易々と見てはいけないような、色っぽい雰囲気が漂ってくる。同じ服装でも、水着と言われるのと下着と聞くのとではとらえ方が大きく異なるように、単に目に映る情報よりも見えざる背景に、操られてしまうのがなんだか悔しい。
 
 いずれにせよ、これから更に寒くなる。街を歩くのが好きだから、軽装で外出できなくなるのはちょっと辛いが、ぼくも黒タイツに変わるような冬らしい服装ができるように、今から考えておくことにする。
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