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お金の話し

 宝くじが当たったら、給料が上がったら、お小遣いが増えたら、お金の妄想話しは楽しくて時間を忘れてしまう。お金を紙切れに変えるだけの宝くじも、ひととき幸せな空想に浸らせてくれるのだから、そう考えれば夢を買っているようなもので、悪いことばかりでもないのかもしれない。というのはちょっと宣伝に踊らされすぎかな。
 
 小さい頃は紙のお金がとても大きなものに見えた。千円札が一枚あればなんでもできると思っていたし、果汁グミをまとめ買いして、浴びるほど食べてみたいと思っていた。実際にお金を持ったところで、子供に出来ることなんて限られているのに、憧れが今以上に強かったのは想像力の豊かさ故かもしれない。
 こういう抑圧をこじらせると大人になってからろくなことにならない。ぼくも一時期、CDや本をコレクション意識で買いあさり、棚を埋め尽くしていくことだけに満足していた。常に欲しいものばかりで(これは今もそうかもしれないけれど)お金がいくらでも欲しいと思っていた。
 断捨離というと大げさだが、消費を抑えて物をあまり持たないようにしよう、と考え始めたのは、社会人になって3年目くらいのことである。学生時代に買い集めたCDが600枚くらいあったが、9割以上売ってしまった。本や漫画もほとんど手放してしまったし、正直なところ今でもふと寂しくなる時があるけれど、後悔はしていない。
 
 今は引っ越し直後ということもあって、生活品や家具の用意で、だいぶお金がかつかつだ。でも生活さえ安定すれば、ぼくは人よりお金をあまり使わないんじゃないかと思う。お酒やタバコ、ギャンブルや夜の遊びにも興味はないし(たまに上司に連れて行かれるくらいで充分なのだ)出かけるのは好きだけれど、映画を見たり美術館に行ったり、1日を潰してもせいぜい数千円だ。
 乗り物は自転車すら持っていないし、まともに服を買うのは年に1、2回というのは、積極的に人に言いたいことではないが、人に迷惑をかけない程度に自分に不便がなければ別にいいんじゃない、と思っている。
 
 よく「お金を貯めたいけど貯まらない。貯金の方法を教えて!」という人がいるが、お金を貯めるのは大変かもしれないが、そんなに難しいことではないと思う。生活費だけで給料を使い果たしてしまうような、所得に余裕のない人がそんなことは言わないだろうし、ともすれば抑えるべき支出が分からないはずはないのだ。
 どうしてお金が貯まらないのか。その答えは便利さに浸りすぎているせいだと思う。
コンビニや外食チェーンなんて今やどこにでもあるし、都会に住めばさらに多種多様なお店が軒を並べる。ネットでは当日発送翌日配送(しかも送料無料)が当たり前、電子書籍や動画配信サービスなんて、購入ボタンを押した瞬間手に入れたも同然だ。
 昔はネットで物を注文しても、届くまでに1週間くらいかかるのが普通だった気がする。だから「別に今急いで注文する必要なんてないし、また今度でいいか」なんて思っているうちに頭が冷静になって、やっぱり買うのをやめた。なんてことが多かった。今では冷静になる暇もなく物が手に入ってしまう。そりゃあ欲しいものが明日届くってなれば、考えるより先に手が動いてしまうのも仕方がない。
 便利になって可能性や選択肢が広がるのはいいことかもしれないけれど、使いこなしているつもりで使われてしまわないように、適度に便利から遠ざかるのも悪くはないんじゃないかと思う。
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